タイトルには想像力と書いたが、どちらかと言えば、先を見通す力、先見という言葉の方がしっくりくる、そんなお話。

さて、今年の2月のこと。俺の勤務先の会社で、とある仕事を受注した。広告の運用と言うことなんだけど、指定した広告文を、一ヶ月の間、指定の条件で設定するという内容という、言うたらつまらない作業である。
たんたんとこなすだけで、お金が転がり込んでくる仕事…のはずだった。

上司に設定する内容や金額を確認し、客先と合意をとった上で広告運用開始。若干いろいろあったが、何とか無事に広告運用期間の一ヶ月が過ぎ、報告書を作成して提出、後は請求書を書くだけなはずだった。

だが、蓋を開けると、報告書のフォーマットがおかしいだの、そもそもこっちが指定してない広告を運用してんだコラ!みたいな話になっているのである。
どーゆーこっちゃ兄弟!と上司を問い詰めたくなったがぐっと堪えて、客先の望む報告書フォーマットに修正し直して再提出することでいったん片付いた。

今回、作業を進めるにあたって俺が担当したのはCSVデータの一括登録と入金手続き、広告の運用監視、報告書の作成の3点である。
データの登録ということでCSVは2種類あって、それぞれ登録するだけの簡単なお仕事である。お金も決まってたので、それぞれ該当の金額を入金した。
運用監視は、所定の予算を消化し切れるか、広告費の消費ペースを確認、適宜設定の見直しをする作業。広告費はだいたい定額消費するので、不足してればペースを落とし、ショートしそうなら追加投入するだけなのでこれまた簡単なものである。
報告書の作成も、別のクライアントの使い回しということだったので、それを使って作った次第である。

ところが。
気づいたら、俺はこのプロジェクトの責任者ということになっていた。
まったく存在すら知らなかった資料を今の今になって出してきて、これみてるよね?的な話を振ってくる。もちろん見たことも聞いたこともないと答えておいた。
さらに、俺が受け取ったCSV自体に問題があった。2種類のうち1種類は、客先に合意を得ていない広告媒体のデータで、何で、そんな広告媒体使ってるの?という話になってた。これに関しては、運用開始前に仕様書を提出したので、確認してない客先も悪いと言えば悪いのだが、一番悪いのは客先に合意を得ず、そんな広告を作った野郎である。すなわち上司。

とまぁいろいろな問題点が後になって分かったんだけども、それではどうすればこのプロジェクトは恙無く進んでいたのか。
まずは、今回の仕事は何をする仕事で、何をすれば完了なのか、客先としっかり打ち合わせをする。それだけである。時間がないからといって全部電話とメールで済ませ、お互いの認識のすり合わせを怠って仕事をするとこうなる、反面教師の鑑的なプロジェクトである。

とはいえ、どんな理由にせよ、最初の打ち合わせができなかったのだから周りがカバーするしかないわけである。となると、実際の担当、すなわち俺がいろいろな状況を想定して動いていれば事前に問題点が洗い出されていたのかもしれない。
それも、プロジェクトの情報が共有されていればまだ対策の打ちようもあったのかもしれないが、いかんせん俺の手元にある情報だけで全てを察せよというのは無茶な話である。例えるなら、木を一本だけ見せて、それから森を想像せよ、と言う話である。残念ながら俺はそこまで想像力豊かな人間ではないし、何でも知ってるスーパーマンでもない。

といことで、なるべくしてなった結末、というのだけは分かった。こういう時は、いくら理不尽なことがあってもただひたすらと取り繕うしかないわけで、客の面目が立つように平身低頭、誠心誠意、時間と心をこめて頑張るだけなのである。

ま、そんな上司ともお別れの時間が迫ってきたから、割り切って仕事ができるというもの。普通・・・今までの俺であれば、そういう気持ちで仕事なんかできるわけもなく。

もし、これを読んでる人が将来人を使う立場になったとき、こんな上司にだけはなって欲しくないので、いくつか教訓を。
あなたは、きっと何かのパイプ役になっていると思う。恐らくは客先と作業担当の間に立っていることと思うが、パイプ役だということを自覚して行動して欲しいのである。
右と左をきちんと繋ぎ、淀みなく水が流れる、そんなパイプがあなたなのだ。
右と左で流れる水量が違えばそれを調節する、どちらか一方に極端に水を流さない、よかれと思って変なフィルターをつけず、しかしゴミは取り除きつつよどみなく水を流す、そんなパイプに徹することがあなたの仕事なのである。
それが嫌なら、全部あなたが仕事をすればよい。現に俺はそうすることにしたので独立という形をとったわけだ。

たいていのパイプ役は、水を流した先が水を受け取ってくれなかった、だからうまくいかなかった。こうのたまう。
それは違うのである。
パイプというのは、右と左に適切な水量を流してやるのが仕事なのだ。
どちらか一方の水が溢れたり、逆に適切に水が流れていなかったりしたら、それはパイプであるあなたの責任なのである。
左右をしっかり見て、うまく水をコントロールしていれば、そうそう変なことは起きない。
より効率よく左右に水を流すことにのみ心血を注ぎ、決して流れる水を俺色に染めてしまおう、なんて思わなければ、たいていの場合はうまくいくのである。

まとまりがなくなってきたのでこの辺で。